内容説明
「ありもしないことを書き綴っていると、たまに本当にあったことを書きたくなる」と語った藤沢周平氏の長編歴史小説を、歴史学者が知の限りを尽くして追求する。
目次
序 藤沢周平の歴史小説
1 『義民が駆ける』の筋書きと若干の問題
2 川越藩から庄内藩を見ると
3 三方国替えの真の狙いを考える
4 事後談―騒動の傷あと・忠邦の怨念
5 庄内藩の地名・役職名を知ろう
6 主人公は義民の群れ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キムチ
35
読み始めるとあれ?との違和感。さもあらん~筆者は御年80歳を過ぎんとする日本近代史の教授。しかし、敬愛する藤沢氏の著書を解明する切り口に新たな視点を貰えた。ファンなら誰しも感じる藤沢氏の執筆態度→己に対する厳格すぎる制約。筆者いわく一機とは政治史であり運動史・・激しく同意。藤沢氏も一揆の指導層を極力表面に立てず義民と描く・・あたかも一服の絵巻の如く。驚くべきはその語・小作民との対立激化に悩む地主層が大正~昭和初期に脚色した歴史概念とある。美談化された一揆像への疑問がこの作品を秀逸ならしめている・・か。2017/08/26
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